せどりと転売ヤーの違いは何?YouTuberなつき氏のシンナー炎上騒動から学ぶビジネスの本質
リベラルアーツ大学(リベ大)でもおすすめされている副業の一つである「せどり」。
しかしながら、「せどり=転売ヤー」というイメージを持つ人も多いほか、4月には「シンナー(塗料用うすめ液)買い占め・転売動画」の炎上騒動もありました。
「安く買って、高く売る」というビジネスの基本とも言えるこの仕組みですが、世間には「せどり」と名乗って歓迎される人もいれば、「転売ヤー」と激しいバッシングを浴びる人もいます。
その境界線はどこにあるのでしょうか?
その答えを考える上で、非常に象徴的な出来事が起きました。せどり系YouTuberのなつき氏(プロせどらー養成学校@なつき)による「シンナー(塗料用うすめ液)買い占め・転売動画」の炎上騒動です。
今回はこの炎上事例をベースに、「せどり」と「転売」の決定的な違い、そして商売において最も重要な「ある精神」について解説します。
本記事では、「せどり」と「転売ヤー」の違いについて解説していきたいと思います。
※2026年6月現在、当該動画は視聴不可能です
「せどり」とはどんなビジネス?

せどりは、本来「市場に埋もれている価値を掘り起こし、本当に欲しい人へ届ける」行為です。
「仕入れた商品を購入金額より高い金額で販売し、差額で稼ぐ」という行為そのものは転売と同じですが、以下の点が転売ヤーとは異なる点です。
- 売り手(店): 売れ残っていた在庫(デッドストック)が売れて助かる。
- 買い手(消費者): 「遠くて買いに行けない」「探す手間がない」ものを代わりに探してきてもらえるため、手数料(利益)を上乗せされても納得して感謝して買う。
- 社会: 眠っていた商品の流通が活性化する。
具体例: > 地方の古本屋で100円で眠っていた絶版の本を買い取り、それをネットを通じて全国の「どうしてもその本が欲しかった人」に3,000円で届ける。
つまり、本来せどりは社会への貢献性がある、至極真っ当なビジネスといえます。
せどりYouTuberなつき氏はなぜ炎上したのか?

先ほど「せどりは社会への貢献性がある、至極真っ当なビジネス」と記載しましたが、せどりYouTuberなつき氏はなぜ炎上したのでしょうか?
今回の騒動の概要を振り返ります。なつき氏が批判を浴びた理由は、主に以下の2点に集約されます。
① 社会的危機(品薄)に乗じた買い占め
動画が投稿された当時、イラン情勢の悪化による原料(ナフサ)の供給不安から、全国的にシンナーや塗料用のうすめ液が極めて入手困難な状況に陥っていました。
そんな中、なつき氏は「今がチャンス」「ホームセンターで大量に仕入れてメルカリで転売すれば、15分で15,000円は余裕で稼げる」といった内容の動画を投稿。
現場で本当に困っている職人や利用者の状況につけ込むような行為に、「悪質すぎる」「モラルがない」と猛烈な批判が集まりました。
② 法律上のリスク(消防法や毒劇法)への認識不足
また、取り扱った商品そのものにも問題がありました。シンナーやうすめ液は、消防法で「第4類危険物」に指定されている引火性液体であり、一定量以上の保管には届け出が必要です。さらに成分によっては毒劇法(毒物及び劇物取締法)に抵触する恐れもあり、一般人が知識なく大量に買い占めて保管・流通させること自体が非常に危険な行為でした。
「せどり」と「転売ヤー」の決定的な違いとは?

この炎上騒動は、まさに「せどり」の看板を掲げながら、最も忌むべき「悪質な転売」に手を染めてしまった典型例と言えます。
では、本来の「せどり」と、世間から嫌われる「転売」にはどのような違いがあるのでしょうか。その根底にあるのは、近江商人の心得として知られる「三方(さんぽう)よし」の精神があるかどうかです。
「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」
商取引に関わる全員が利益と幸福を得られる状態を指す、日本の伝統的な商業道徳。
せどり=価値の提供(三方よし)
先ほども記載しましたが、本来のせどりは「市場に埋もれている価値を掘り起こし、本当に欲しい人へ届ける」行為です。
- 売り手(店舗): 長期在庫やデッドストックが売れて助かる。
- 買い手(消費者): 「遠くて買いに行けない」「探す手間がない」という不便を解消してもらえるため、適正な手数料(利益)が上乗せされていても、納得し、感謝して購入する。
- 世間(社会): 眠っていた商品が流通し、経済が活性化する。
転売=価値の搾取(自分よし)
一方で、悪質な転売(転売ヤー)は、「誰でも定価で買えるはずのものを独占し、不当に値上げして選択肢を奪う」行為です。
- 売り手(店舗): 本当に届けたい一般のお客さんに商品が行き届かず、店舗やメーカーのイメージが悪化する。
- 買い手(消費者): 普通に買えば定価で手に入ったはずなのに、買い占められたせいで不当に高い金額を支払わざるを得なくなる(機会の損失)。
- 世間(社会): 需給のバランスが崩れ、流通が混乱する。
なつき氏のケースは、まさに「社会的な困惑・危機」に便乗し、買い手の選択肢を奪って不当な高値を突きつける、典型的な「自分よし」だけの転売行為だったと言えます。
まとめ:「三方よし」の精神が大事!

2つの性質の違いをまとめると、以下のようになります。
| 項目 | 本来の「せどり」 | 悪質な「転売」 |
| ビジネスの目的 | 価値のギャップ(場所や手間の差)を埋める | 需給の逼迫(品薄・限定)につけ込む |
| 仕入れの対象 | 古着、リサイクル品、セール品など | 限定品、チケット、災害や有事の品薄商品 |
| 消費者の感情 | 「探してくれてありがとう」(感謝) | 「こいつらのせいで買えない」(怒り) |
| 社会的影響 | 在庫の流動化(プラス) | 買い占めによる市場の混乱(マイナス) |
おわりに:テクニックより「商売の本質」に立ち返る
なつき氏の動画は「15分で1万5千円」というキャッチーな数字で視聴者を惹きつけようとしました。しかし、どれだけ目先の効率が良く、一時的に儲かる手法であっても、他人の弱みや社会の危機を搾取するやり方は長続きしません。
今の時代、そのような行為は瞬時にSNSで拡散され、社会的な信用を失う結果となります。
これからせどりや物販ビジネスに挑戦しようと考えている方、あるいはすでに実践している方は、テクニックや「今儲かるアイテム」を追うだけでなく、常にこう自問自答してみてください。
「この取引は、三方よしになっているか?」
誰かの「困惑」を燃料にして稼ぐのではなく、誰かの「不便」を解消する対価としてお金をいただく。この商売の本質に立ち返ることこそが、長く健全に稼ぎ続けるための唯一の道と言えるのではないでしょうか。
参考動画
本炎上騒動の後、リベ大の両学長がせどりに対する動画をアップしています。
この動画も見ていただくと、「せどり」と「転売ヤー」の違いが分かるのではないかと思いますので、こちらもぜひ参考にしていただければと思います。

